「スマートフォンのためのUIデザイン」執筆後記
先日、「スマートフォンのためのUIデザイン」を執筆したことについて書きましたが、3月30日の発売以来色々な方に手に取っていただき、ご感想も多数いただいております。ありがとうございます。このような機会をいただけることも多くないと思うので、少し執筆の舞台裏を書いておきます。
執筆は休日に「武蔵野プレイス」で
執筆期間は半年弱かかっていますが、執筆のほとんどは休日でした。自宅以外の方が捗るため、場所を探していたのですが、自宅から比較的近い武蔵境に「武蔵野プレイス」という居心地のよい素敵な図書館があることが分かりました。期間中、ほとんどの休日をここで過ごしました。図書館といっても特徴的です。
- ドリンクなどの持ち込みができる
- カフェがあるのでコーヒーや食事がとれる
- 無線がある(FREESPOT)
- 結構切れるのでネットを使った本格業務は無理なレベル
- 電源のあるワーキングデスクがある(有料)
- 午前、午後、夜の区分に分かれ、それぞれ400円で利用可能
少し都会から離れますがご興味ある方是非足を運んでみてください。
大事な通勤時間
普段は働いているので時間を有効活用しないととてもじゃないと進みません。そのために色んなものを削ってシンプルな生活をしていましたが、特に通勤時間はとても大事な時間でした。僕の場合、会社まで片道1時間かかります。そこで執筆中は通勤の電車の中で3つの事をやっていました。
- アイデアを考える
- 事例を探す
- 色んなサービスやアプリを使い必要なUIを探しスクリーンショットを撮ります。時には後で見返すと何の画面だったのか分からなくもなりましたが、事例のほとんどは通勤時間で探したと思います。
- 校正
- 場所を変えて気分が変わっているので、客観的に文章を見る事ができます。特に執筆後半はスケジュールも厳しくなり、通勤時間の校正が重要な時間でした。
夜中にやる作業
仕事のあとはヘトヘトなので平日はほとんど進みませんでした。原稿は書けなくても何かやれそうな時は、お絵描きというか図を描く時間として割り当てていました。画面内のワイヤフレームや説明図をIllustratorで描いていたので、予めラフがあれば、オペレーションだけであまり疲れません。
早いアップデートサイクルへの対応
執筆を開始してしばらくしてiOSが5から6にバージョンアップしました。ガイドラインの巻末の更新履歴には書かれていないところにも多少手が入っていたためUIに関するところのアップデート内容の確認は大変でした。また、画面サイズの変更もあったためスクリーンショットもほとんどが撮り直しです。スマートフォン業界自体変化が激しく、UIの変化も速いです。普遍的な内容が中心ではありますが、事例として取り上げていたサービスで、使っていたはずのUIコンポーネントがリニューアルされてなくなっていて、締め切り間近の差し替えも意外と多かったです。
執筆を通して興味が湧いたこと
本を書くために新しい知識を身につける必要もありましたが、色々と調べていく中で執筆に直接必要なくとも面白そうな領域とすれ違うこともあり興味の幅が広がりました。本書を読んでいただいた方は分かると思いますが、特に「メタファー」「クリエイティブと原則」「記号論・認識論」などがあげられます。それらに関する書籍を会社の人に教えてもらったので興味がある方はのぞいてみてください。
文章を書くこと
僕は文章を書くことに不得意に感じてます。特にデザイナーの方で僕と同じように、文章で説明したり、ドキュメントを書くことを得意と思っていない人も多いと思います。ただ、今回の執筆を通して、文章を書くことも、対象ユーザーのことを考え、分かりやすく整理して物事を表現するという点で、デザインと同じようなことだと再認識しました。今後も、自分の考え方やデザインについて誰かに伝える能力も、育みたいと思います。
スマートフォンのためのUIデザイン ユーザー体験に大切なルールとパターン
- 作者: 池田拓司
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2013/03/30
- メディア: 大型本
- クリック: 117回
- この商品を含むブログ (5件) を見る